性的接触により感染するクラミジア。性器だけでなくのどや眼にも感染することがあります。クラミジアはどこに感染していても、抗生物質で治療します。この記事ではクラミジアの治療方法や治療の流れを詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
【リード文】
「クラミジアってどう治療するの?」
「クラミジアは市販薬では治せないの?」
このようにクラミジアの治し方を知りたい方もいるのではないでしょうか。
性的接触により感染するクラミジア。性器だけでなくのどや眼にも感染します。どこに感染しても治療は抗生物質の使用であり、自然に治ったり市販薬で治したりはできません。
この記事では、クラミジアの治療方法や治療の流れ、クラミジア治療をするときの注意点を解説しています。ぜひ参考にしてください。
(この記事がおすすめの方)
- クラミジアの治し方を知りたい方
- クラミジアの治療の流れを知りたい方
- クラミジアの感染に心当たりのある方
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
クラミジアは抗生物質で治療する
クラミジアの治療には、菌の増殖を抑制したり殺したりする抗生物質を使用します。クラミジアは症状の出る場所(性器、のど、目など)に関わらず、基本的な治療方法は同じです。使用される抗生物質は主に以下の3種類です。
- マクロライド系
- ニューキノロン系
- テトラサイクリン系
それぞれ詳しく解説します。
マクロライド系
クラミジア治療でよく使われる「ジスロマック(アジスロマイシン)」はマクロライド系に属します。この薬の特徴は以下の通りです。
- 副作用が少ない
- 妊婦にも使用できる
- 1回の服用で治療が完了する
ジスロマックは効果が1週間持続するため、4錠を1回内服したら治療が終了します。そのため、飲み忘れが不安な方にぴったりの薬です。ただし、ジスロマックを内服するときには、以下の注意点があります。
- 副作用には悪心、下痢などがある
- 薬の飲み合わせに注意が必要
- 内服後1週間は飲酒を控える
ジスロマックはアルコールにより効果が低下します。薬効を持続させ治療を1回で終わらせるためにも、内服後1週間アルコールは控えましょう。
ニューキノロン系
クラミジア治療には、「クラビット(レボフロキサシン)」といったニューキノロン系の抗菌薬もよく使われます。この薬の特徴は以下の通りです。
- 幅広い菌に効果がある
- 副作用には吐き気、めまい、痙攣などがある
- 妊婦には使用できない
- 牛乳や鉄剤、マグネシウムを含むサプリメントを飲むと吸収が低下する
この薬は1日1錠を医師の指示に従い7日間以上内服します。ジスロマックよりも下痢になりにくいとされていますが、毎日飲み続ける必要があります。また、牛乳や鉄剤、マグネシウムを含むサプリメントを一緒に飲むと薬の効果が十分に得られなくなるため、2時間はあけて飲むようにしましょう。
テトラサイクリン系
テトラサイクリン系の抗菌薬である「ビブラマイシン(ドキシサイクリン)」や「ミノマイシン(ミノサイクリン)」が使われることもあります。この薬の特徴は以下の通りです。
- 副作用には悪心、腹痛、めまいなどがある
- 妊婦には使用できない
- 牛乳や鉄剤、マグネシウムを含むサプリメントを飲むと吸収が低下する
テトラサイクリン系の抗菌薬は、1日2回の服用を1週間程度続けます。また、ニューキノロン系の抗菌薬と同様に、カルシウムや鉄、マグネシウムを多く含むものを一緒に摂ると薬の効果が弱くなるため2時間はあけて飲むようにしましょう。
クラミジアは市販薬では治らない
クラミジア治療は、他の感染症との判別や症状・体質に合わせた薬の選択が必要なため、必ず医師の診察が必要です。そのため、クラミジアの治療薬はドラッグストアや薬局などでは販売されていません。インターネット通販ではクラミジア治療薬と書かれた商品が販売されていますが、以下の点から購入は控えたほうがよいでしょう。
- 安全性が確認されていない
- 効果が証明されていない
- 偽薬の可能性もある
- 副作用のリスクが不明
根拠のない口コミは信用せず、クラミジアを疑うときは必ず医療機関を受診しましょう。「忙しくて病院に行けない」「性病で病院に行くのは恥ずかしい」という方は、プライバシーに配慮しながら自宅で診療が受けられるオンラインクリニックの利用もおすすめです。
クラミジアの治療の流れ
クラミジアの治療は、次の3つのステップで進みます。
- 検査
- 薬の内服
- 治療後の確認検査
検査
クラミジアは検体を用いて検査する「抗原検査」が主流です。抗原検査は検査したい病原体の抗体を用いて、病原体が持つ特有のタンパク質を検出する検査方法です。感染が疑われる場所(性器、のど、目)などによって検体採取方法が異なります。
感染部位 | 検体採取方法 |
---|---|
性器クラミジア(男性) | 尿で検査 |
性器クラミジア(女性) | 綿棒で膣からの分泌物を採取し検査 |
咽頭クラミジア | うがい液で検査 |
肛門クラミジア | 綿棒で肛門から検体を採取し検査 |
クラミジア結膜炎 | 綿棒で目やにや分泌物を採取し検査 |
検体採取は数分程度で、痛みはほとんどありません。また、クラミジアの検査結果は数日でわかります。そのため、クラミジアに心当たりがあるときはまずは検査をしてみましょう。
薬の服用
検査でクラミジアが陽性だった場合は、前述のように抗生物質を1日~7日程度服用します。一般的な治療期間は陰性確認まで含めて3~4週間程度ですが、抗生物質が効きにくかったり症状が進行していたりすると、状況に応じて治療期間が延びる可能性もあります。
治療後の確認検査
薬の内服から3週間以上あけて検査し、陰性が確認できると治療完了です。症状が改善しても体内に病原体が残っている可能性があるため、確認検査は必ず受け、治療効果を確認しましょう。
クラミジアに感染していると淋菌にも感染している可能性がある
クラミジアに感染している方の約10%が淋菌にも感染しているといわれています。そのため、以下のような自覚症状がある場合にはクラミジアと淋菌の同時検査がおすすめです。
女性 | 男性 |
---|---|
おりものの増加 生理以外の出血(不正出血) 下腹部の痛み 性交時の痛み | 尿道のかゆみや不快感 排尿時の痛み 尿道から透明~乳白色の膿が出る 精巣上体が腫れる |
淋菌の自覚症状はクラミジアに似ていますが、最近では薬剤耐性菌の増加が問題となっています。そのため、点滴での治療するといったより慎重な治療が必要です。
クラミジアを治療するときの注意点
クラミジア感染を広げないため、以下の3点に注意して治療しましょう。
- パートナーと一緒に治療する
- 抗生物質は飲み切る
- 治療中は性的接触を控える
それぞれ詳しく解説します。
パートナーと一緒に治療する
クラミジアに限らず、性感染症ではパートナー同士がお互いに感染させ合う「ピンポン感染」が問題となります。お互いの体を守るために、感染症がわかったらパートナーも一緒に検査・治療しましょう。
性感染症の陽性をパートナーに言い出しにくいという方は、説明のタイミングや説明方法など、医療スタッフに相談してみましょう。
治療中は性的接触を控える
クラミジアは治療期間中も感染力が残っているため、陰性確認ができるまでは感染のリスクがあります。そのため、以下のような行為は控えましょう。
- 性交渉
- オーラルセックス
- ディープキス
クラミジアは感染力が強く、コンドームをつけていても感染リスクはゼロにはなりません。確実に完治するために、治療期間中の性的接触は控えましょう。
抗生物質は飲み切る
クラミジア治療のために処方された抗生物質は、必ず飲み切りましょう。薬を飲み切る前に症状がよくなったからといって、自己判断で内服を中止するのは以下の点から避けましょう。
- 体内に菌が残っている可能性がある
- 症状が再燃する可能性がある
- 耐性菌を作る可能性がある
クラミジアの完治を確実にするためにも、抗生物質は飲み切りましょう。もし、副作用がひどいときには、自己中断せず医師に相談しましょう。
クラミジアの検査・治療はDMMオンラインクリニックがおすすめ
クラミジアは感染力が高く、抗生物質で治療しないと重症化や感染を広げるリスクがあります。市販薬では治療できないため、クラミジアの心当たりがあるときには医療機関を受診しましょう。
「忙しくて病院に行く時間がない」「性感染症で受診するのは恥ずかしい」という方は、自宅で診療が受けられるDMMオンラインクリニックがおすすめです。検査キットや薬も自宅に届くため、待ち時間がかからず他人の目も気になりません。ぜひ利用を検討してみてください。
クラミジアの治し方に関するよくある質問
- クラミジアは自力で治せますか?
- クラミジアはどうやって予防したらいいですか?
- クラミジアの検査・治療は保険が適用されますか?
クラミジアは自力で治せますか?
クラミジアは風邪と異なり、自然には治りません。症状がなくなっても、病原菌は体内に残ったままであり、他の人にうつす可能性があります。
ときどき、風邪や他の病気のために処方された抗生物質により、クラミジアの症状が改善するケースがあります。しかし、この抗生物質で性病が完治したとは言えないため、改めて診療を受けて検査・治療しましょう。
クラミジアはどうやって予防したらいいですか?
クラミジアの予防は、精液や膣分泌液が粘膜に触れないようにするため、コンドームを使用しましょう。しかし、以下の点に注意が必要です。
- コンドームでも100%の予防はできない
- 正しく使用する
- 粘膜との接触でも感染の可能性がある
また、不特定多数との性的接触や症状がある相手との接触を避けることも重要です。早期発見・早期治療が大切なため、定期的に検査を受けるのもよいでしょう。
クラミジアの検査・治療は保険が適用されますか?
クラミジアの検査・治療は、保険適用される場合とされない場合があります。保険適用するには、医師が診察し、クラミジア検査の必要があると判断する必要があります。その主な条件は以下の通りです。
- 自覚症状があるとき
- 感染の可能性が高いとき(例:パートナーが感染している)
- 関連する検査に異常があるとき(尿検査や血液検査など)
自費診療となるのは以下の場合です。
- 自覚症状がなく、関連する検査の異常もないとき
- ブライダルチェックなど確認のために検査を受けるとき
ほかにも、保険診療で個人情報を明かしたくない方、保険組合からの通知を自宅に送付されたくない方も自費での検査・治療が可能です。自費診療は病院によって料金が異なるため、詳しくは受診前に病院に問い合わせてみましょう。
【参考文献】
厚生労働省 これって性感染症?
厚生労働省 健康・医療 性感染症
産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023