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身近な性病の症状と原因・対処法を詳しく解説

性病は、早期治療すれば完治するものから命を脅かすものもあります。また自分だけでなくパートナーや他者の人生に大きな影響を及ぼす病気です。性病の感染経路は主に「性行為」ですが、ほかにもさまざまな感染経路があり、感染する危険は私たちの身近に潜んでいます。この記事では、性病の概要から対処法まで詳しく解説します。

この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)

1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。

目次

性病(性感染症)とは?[1][2]

性病(STD)とは、「性行為で感染する病気」の総称です。日本で最も多い性病は「性器クラミジア感染症」と言われています。性病の報告数は男女ともに20代からピークを迎えており、発達段階において性への関心が高まることが関連していると思われます。

また、減少傾向であった「梅毒」も近年増加傾向にあります。正しい感染対策の徹底が求められています。

性病の感染経路[1][3]

性病の感染経路は、主に性病に感染している人との「性行為」ですが、それ以外の感染経路があります。性病の原因となるウイルスや細菌は、精液や血液などの体液に含まれるため、感染経路はさまざまです。その感染経路を詳しく解説します。

性行為

膣性交は全ての性病の感染経路となります。必ずコンドームを着用することが重要です。

口腔性交(オーラスセックス)

オーラルセックスをすることで性病が咽頭に感染します。また、咽頭の性病を保持している人が、相手の性器にうつしてしまう可能性も高いです。

主に感染する性病は、梅毒・咽頭クラミジア・淋病などです。

肛門性交(アナルセックス)

肛門は便を排泄する出口ですが、性行為として使用することで性病に感染します。肛門性交をする際は、浣腸で腸内を綺麗にし、コンドームを着用してください。

主に感染する性病は、HIV、梅毒、クラミジアB型・C型肝炎などです。

血液・体液による感染

接吻や唾液が付着した食器類の使いまわしなどで感染する可能性もあります。また、血液が付着した器具の使い回しでも感染します。

主に感染する性病は、HIV、梅毒、B型・C型肝炎です。

母子感染

性病に感染している母親から赤ちゃんへ感染する可能性があります。その場合、先天性の身体の障害や奇形児の原因となります。最悪の場合、死に至ります。

妊娠を希望している、もしくは可能性がある人は性病検査を受けてください。妊娠前に男女ともに性病に感染していないことが確認できれば、赤ちゃんの健康を守れます。

主に感染する性病は、HIV、梅毒、B型・C型肝炎です

その他の感染経路

これまで紹介した感染行為がないのに、性病になる場合もあります。その場合は、下記のような経路で感染した可能性があります。

  • 性病に感染している人の体液が付着したタオルを使用した
  • 性病に感染した人の体液が、浴室の床や椅子などを介して接触した
  • 公衆トイレなど不衛生な場所をを介して接触した
  • 使用済みの注射針使いまわし
  • 性病に感染した人の血液を輸血された

サウナや大浴場などは不特定多数の人が利用しています。公共の場所で、共有物を使用する際は、必ずお湯で洗い流してから使用してください。

主な性病と症状[3][4]

これまで性病の感染経路を紹介しました。日本でよく耳にし、報告数が多い性病とその症状を紹介します。

HIV

HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス」の略です。このウイルスが体内に入ると免疫細胞であるリンパ球が破壊されます。そのため、細菌やウイルスからからだを守る機能が低下し、さまざまな感染症に罹患しやすくなり、癌など命に関わる病気を発症しやすくなります。

この状態をエイズ(後天性免疫不全症候群)といいます。

HIVが完治することはありませんが、早期の薬物療法によってエイズの発症は抑えられます。

潜伏期間は14日前後です。

HIVに感染すると①感染初期②無症候期③エイズ発症期の経過を辿ります。

感染初期には下記のようなインフルエンザ様症状が見られ、その後無症候期に入ります。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 咽頭痛
  • 下痢

無症候期は数年~10年以上続く人もいます。そのため、薬を自己中断する人も多く見られます。その場合、急激に症状が進行し、最悪の場合感染したウイルスや細菌に脳が侵食され、脳症を合併し、命に関わる恐れがあるため、薬を自己中断しないでください。

梅毒

梅毒は、「ペニシリン」の治療薬が発見されるまで不治の病と言われていましたが、早期発見・治療で完治が期待できます。

しかし、治療が遅れると命を奪われる恐ろしい性病です。梅毒は主に下記に経過・症状を辿ります。

項目発症時期症状
1期3週間~3ヶ月
潜伏期間は3~6週間
・性器、肛門、口などに、3mm~3cmほどのできものやしこりができる ・太ももの付け根にあるリンパ節の腫れ
男性の好発部位:亀頭と陰茎の間の部分(冠状溝:かんじょうこう)、亀頭、陰茎、性器周辺の皮膚
女性の好発部位:膣の中(子宮膣部)、大陰唇・小陰唇周辺の皮膚
男女共通の好発部位:口腔粘膜・咽頭粘膜
※痛みやかゆみを伴わない
2期3ヶ月以上・手のひら、足の裏、四肢、からだに赤~褐色の淡い発疹が出現
・頭皮の一部もしくは全体体に脱毛が起きる
・皮膚の色素細胞が障害され、皮膚の一部もしくは複数箇所が白くなる
・手や足爪や周囲が赤く腫れる
・口腔内粘膜、咽頭粘膜、口唇に紅斑もしくは乳白色の腫れが生じる
・扁桃や軟口蓋周辺が赤く腫れる
3期3年~10年・全身に腫瘍やしこりができる
4期10年以上・心臓、脳に病変ができ、最終的に死に至る

性器クラミジア感染症

クラミジアは5人中4人がほとんど症状がないため、気づかれにくい性病です。潜伏期間は1~3週間で、症状は男女で下記のように異なります。

〈男性〉

  • 排尿痛
  • 性器のかゆみ
  • 睾丸の腫れ
  • サラサラとした尿道分泌物がでる
  • 男性不妊につながる

〈女性〉

  • 子宮頸癌、子宮内膜症、卵巣癌、骨盤腹膜炎を併発する
  • 不妊
  • 妊婦の場合は、早産・流産・子宮外妊娠の可能性

女性は自覚症状がない場合が多いため、症状が出現した時には重大な病気を併発していることがあります。

淋病

淋菌は「淋菌」という菌が原因の性病です。潜伏期間は2~7日ほど。

感染部位は女性は膣、男性では尿道と肛門です。男女別の症状は下記のとおりです。

〈男性〉

  • 尿道のかゆみと違和感
  • 尿道炎による激しい排尿時痛
  • 性器から黄白色の膿様分泌物の排泄
  • 進行すると精巣上体炎を発症し、男性不妊の可能性

〈女性〉

  • 卵巣炎、腹膜炎、肝周囲炎を併発する
  • 膿様分泌物、おりものの性質の変化
  • 不妊
  • 妊婦の場合は、早産・流産・子宮外妊娠の可能性

性器カンジダ

カンジダは真菌というカビの一種によって起こる性病です。女性によく見られる病気で、男性の発症率は比較的低いです。潜伏期間は1日~1週間前後です。

女性は膣内・性器周辺の皮膚、男性は尿道に感染します。男女別の症状は下記のとおりです。

〈男性〉

  • 排尿痛と性交時の痛み
  • 性器のかゆみ、発疹

〈女性〉

  • 排尿痛と性交時の痛み
  • 性器周辺のかゆみと発疹
  • 粘度の高い白いヨーグルト状のおりもの(酒粕、チーズ状)

命に関わる場合はほとんどなく、陰部を清潔にし、抗真菌薬の内服や軟膏処置で完治が可能です。

性器ヘルペスウィルス感染症

性器ヘルペスは、外部から入ったウイルスによる初感染と仙髄神経節に潜伏しているウイルスの再活性化による2つの発症ケースがあります。初感染の潜伏期間は、3~7日です。

症状は下記のとおりです。

  • 外陰部に水疱または潰瘍形成
  • 発熱
  • 倦怠感

2~4週間で自然治癒する場合が多いですが、仙髄神経節へ入り、不眠やストレスなど免疫機能が低下したときに再活性化し症状を繰り返します。

性病を疑っている方へ|症状チェックリスト

性病に罹患している人と接触してしまった、性病の可能性がある人は下記の症状チェックリストをお試しください。

  • 陰部に痛みがある
  • 陰部のかゆみがある
  • 陰部に水疱やしこりがある
  • 陰部が赤く腫れている、もしくは爛れている
  • 喉の痛みがある
  • 微熱、または発熱が続いてる
  • 排尿痛がある
  • 尿道から膿様のものがでる
  • 性交時に痛みがある
  • コンドームを使用せず性行為をした
  • 風俗店に行った

(女性のみ)

  • おりものの量が増えた
  • おりものが異臭がする
  • おりものの色が違う
  • おりものが酒粕のようにポロポロしている

多く当てはまる場合は、性病の可能性があります。すぐに専門医の診察を受けて下さい。

DMMオンラインクリニックでは、24時間いつでもオンラインで医師と相談でき、診察料0円で症状に応じた薬の処方が受けられます。

医療機関の受診に抵抗がある方、まずは相談だけしたい方は、自宅で気軽な相談を受けてみましょう。

性病にならないための予防法[5]

性病を予防するために重要なことは性行為の正しい知識と対策です。最も効果的なのは「性行為をしない」ことですが、パートナーと家庭を築いていくなど難しい場合が多いと思います。

下記に紹介する予防法を心がけてください。

正しい性行為

性行為の際は、必ずコンドームを着用してください。その際に下記の正しい使用方法を守り、確認することで、より安心な性行為ができます。

  • 使用期限が切れていないか
  • サイズや形、自分に合ったものか
  • 穴が空いていたり、爪で傷つけたりしていないか
  • カウパー腺液にも病原菌が含まれるため、勃起後すぐに着用する
  • 膣性交以外に、オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)の時も使用する
  • 射精時の破裂を防ぐために、コンドーム先端の空気を抜く

また、性行為の前後にシャワーを浴び清潔に保つことも効果的です。

パートナーのためにも正しい性行為を理解し、互いのからだを大切にしてください。

不衛生な場所は利用しない

公衆トイレといった設備が整っていない場所での排泄は避けてください。掃除が行き届いており、設備が整った公共施設のトイレの使用をお勧めします。

また、野外での性行為も止めてください。

性病検査を受ける

性病に感染していないことを確認するために、性病検査を受けることをお勧めします。微分だけでなくパートナーと一緒に受けることも互いの安心感につながります。

受診がしにくい時や忙しくて受診できない場合は、自宅でできる性病検査キットもあります。性病について詳しく知りたい人はこの機会に受けてみてはいかがでしょうか?

身近に性病に罹患した人がいる場合はどうすればいい?

同居家族やパートナーが性病に感染していた場合、どう行動すればいいのか、どうすれば自分も感染しないか戸惑うかと思います。下記の行動をとってください。

体液・血液暴露の恐れがある行為をしない

パートナーが性病に罹患した場合は、「性行為をしない」ことが一番の感染予防策です。ですが、どうしても難しい場合は、必ずコンドームを着用しましょう。加えて、互いに性行為の前後に手洗い、うがい、シャワーで菌を洗い流し清潔を保って下さい。

しかし、必ずしも感染しない保証はないので、ご家族やパートナーとよく話し合ってください。接吻も感染リスクが高いです。

また、パートナーが性病に罹患していることがわかった時は、自身も感染していないか検査を受けて下さい。

生活用品を分ける

性感染症は、病原菌を含む精液、腟分泌液、血液などの体液が、口や性器の粘膜、皮膚などに接触することで感染します。

なので、タオルや食器など共用で使用しないよう生活用品を分けてください。体液が付着していた場合、感染するリスクが高いです。

同じ湯船に浸からない

性病の病原菌は熱に弱く、同じ浴槽に浸かっても問題はありませんが、稀に病原菌が死滅していない場合があるため、同じ湯船に浸かるのは避けて下さい。

浴室の椅子も使用前に洗い流せば問題ありませんが、気になるようなら自分専用のお尻敷マットを使用するなど工夫すると良いです。

性病に罹患したらどうすればいい

もしも、自分が性病に感染した場合どう行動すればいいのか下記にまとめました。また、性病に感染したことを家族やパートナーに知られたくない人も多くいます。その場合の対策方法も紹介します。

すぐに病院を受診する

自宅での検査キットで陽性反応がでた、パートナーの性病が発覚した場合はすぐに病院を受診し、専門医も診察を受けて下さい。種類によっては、早期発見・治療で完治する性病もあります。

家族や会社に知られたくない場合は自由診療を

性病であることを家族や会社に知られたくない場合は、自由診療をお勧めします。自由診療の場合、年に1度届く「医療費のお知らせ」に受診歴が記載されないため、周りの人に知られる可能性は低いです。

性病の悩みを抱え、誰にも知られず解決したい人は多く、そのニーズに答えるため自由診療を行っている性病クリニックが増えています。

しかし、一般的に病院にかかると健康保険が適応されて自己負担額は3割ですが、自由診療の場合は全額負担となるため医療費は高額になります。

特にHIV/エイズに感染した場合、一生涯付き合っていかなければならず、治療費も高額です。

一人で抱え込まず、パートナーやご家族に正直に打ち明け、今後について一緒に考えていけるよう医師と相談していくことをお勧めします。

医療費を抑える場合は保険診療

前述したとおり、保険診療であれば自己負担額は3割のため医療費を抑えることが可能です。

しかし、症状がでていないと検査や治療ができず、「感染してないか検査をしたい」という理由だと保険診療の対象外となるため注意が必要です。

自分がどの性病に感染しているか、幅広く検査し明確にしたい場合は、自由診療をお勧めします。

性病の症状があったらすぐに内科に受診を

性病は完治できるものからHIV/エイズのように、一生涯付き合っていく性病もあります。いまだに性病に対し偏見の声が聞かれますが、プライバシーに配慮したクリニックも多くあるので、一人で抱え込まず医療従事者や家族など身近な人を頼ってください。

性病は、自分だけでなく大切な家族やパートナーの人生にも大きく関わることです。症状チェックリストで多く当てはまる場合や、性病罹患者と接触した場合は専門の病院もしくはクリニックをすぐ受診してください。

DMMオンラインクリニックなら、スマホやパソコンから24時間いつでも受診可能。医師があなたの状態を丁寧に診断し、診察料0円で適した処方薬を提案します。

処方された薬は最短で当日に自宅へ配送されるため、すぐに治療をはじめたい方でも利用しやすいですよ。

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【参考文献】

[1]国立感染症研究所|感染症発生動向調査事業年報-2022-https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2270-idwr/nenpou.html

[2]性感染症報告数(2004年~2022年)|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp

[3]あおぞらクリニック

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[4]感染症情報|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html

[5]性病・性感染症の「正しい知識と検査」をあなたに STOPtheSTD|STD 研究所https://www.std-lab.jp/

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