「ピルを飲み忘れたかも……。」
「何時間以内なら大丈夫なんだろう?」
そんな不安に駆られたことはありませんか?
低用量ピルは正しく服用すれば高い避妊効果を発揮しますが、飲み忘れた場合の対応を間違えるとその効果が失われることも。
本記事では、飲み忘れた経過時間に応じた具体的な対処法や、避妊効果を維持するためのポイントを分かりやすく解説します。
不安を解消し、安心してピルを活用できるように一緒に確認していきましょう。
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
低用量ピルの正しい服用方法
低用量ピルを正しく服用するには、1日1錠を毎日決まった時間に服用することが基本です。
正確なタイミングでの服用を心がけることで、避妊効果を最大限に保つことができます。
低用量ピルには大きく分けて次の2つのタイプがあります
・21錠タイプ:21日間服用後、7日間の休薬を挟みます。
・28錠タイプ:21錠の実薬と、飲み忘れを防ぐための7錠の偽薬がセットになったタイプです。
ピルは、1日でも飲み忘れると排卵するリスクがあるため、継続して服用することが大切です。
特に服用に関して不安や疑問がある場合は、処方された際に医師や薬剤師に確認しておきましょう。
日数別|ピルを飲み忘れたときの対応方法
低用量ピルを飲み忘れた場合、何日間飲み忘れたか、そして服用を開始してから何週間目かによって適切な対処法が異なります。
正しい対応を取らないと避妊効果が低下する可能性があるため、状況に応じた具体的な対応方法を知っておくことが重要です。
ここでは、飲み忘れの状況別に対応法をわかりやすく解説します。
1日飲み忘れた場合
1日飲み忘れた場合は、気付いた時点ですぐに1錠を服用し、その日の分も通常通り服用してください。
例えば、気付いたのが翌日の服用時間の場合は、前日分と当日分を合わせて1日2錠服用しても問題ありません。
1日だけの飲み忘れであれば、避妊効果が大きく低下するリスクは少ないとされていますが、これ以上の飲み忘れを防ぐために、服用時間をしっかり管理するよう心がけましょう。
2日以上飲み忘れた場合
2日以上連続で低用量ピルを飲み忘れた場合は、1日飲み忘れた場合と同様に、気付いた時点ですぐに1錠を服用し、その日の分も通常通り服用してください。
1日あたり2錠までなら服用しても問題ありません。
ただし、7日間連続で服用を続けるまでは、コンドームなどの他の避妊方法を併用するか、性行為を控えることが必要です。
特に飲み忘れが1週目に起こった場合は妊娠のリスクがあるため、不安があれば医師に相談してください。
3日以上飲み忘れた場合
3日以上連続で低用量ピルを飲み忘れた場合は、服用開始から何週目かによって対応が異なります。
この段階では避妊効果が大きく低下している可能性があるため、正しい対応を取ることが非常に重要です。
以下に服用週ごとの対応方法をまとめました。
ご自身の状況に合わせて適切な対応を確認してください。
飲み忘れた週 | 対応方法 |
---|---|
1週目 | 休薬期間または第1週に性交渉を行った場合には緊急避妊を検討する |
2週目 | 直前7日間に連続して正しく服用した場合には緊急避妊は必要ない |
3週目 | 休薬期間を設けず、現在のシートの実薬を終了したらすぐに次のシートを始める |
出典:「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」を基に作成
1週目の場合
1週目は休薬期間が明けたばかりのタイミングであるため、2日以上飲み忘れがあると避妊効果が低下する可能性があります。
この期間中は卵巣の活動が再開することがあり、特に休薬期間が7日を超えると排卵が起きるリスクが高まります。
避妊効果を維持するためには、飲み忘れに気づいた後、低用量ピルを7日間連続で服用するまでは、コンドームなどの避妊具を使用する、または性行為は控えることが推奨されています。
また、飲み忘れが判明する前の5日以内に性行為を行っていた場合は、緊急避妊薬(アフターピル)の使用を検討することが重要です。
2週目の場合
低用量ピルの服用が2週目であれば、直前の7日間分を正しく服用している限り、アフターピルは不要とされています。
7日間連続して正しく服用できていれば、卵巣の機能が十分に抑制されており、避妊効果が維持されていると判断されるためです。
そのため、2週目で1~2錠の飲み忘れがあったとしても、即座に避妊効果が大きく低下するわけではありません。
飲み忘れに気付いた場合は、その日の分を早めに服用することが大切です。
その後、残りの錠剤は通常通りのタイミングで服用してください。
ただし、直前の7日間でピルの服用が不規則だった場合、避妊効果が十分に発揮されない可能性があります。
その際は、コンドームなどの代替避妊法を併用することを検討してください。
3週目の場合
3週目にピルを飲み忘れた場合は、通常の休薬期間を取らず、現在のシートをすべて飲み終えたら、すぐに次のシートを開始することが推奨されています。
本来、1周期につき7日間の休薬期間を挟むのが一般的ですが、3週目での飲み忘れは特別な対応が必要です。
この方法を取ることで、避妊効果が低下するリスクを最小限に抑えることができます。
28錠タイプの偽薬を飲み忘れた場合
28錠タイプの低用量ピルに含まれるプラセボ(偽薬)は、飲み忘れ防止を目的として設けられているため、飲み忘れても問題はありません。
飲み忘れた分の錠剤は捨てて、翌日から通常通りの服用を再開してください。
ピルの飲み忘れによるリスク
低用量ピルは正しく服用することで高い避妊効果を発揮しますが、飲み忘れによってその効果が低下し、妊娠のリスクが生じる可能性があります。
本項目では、飲み忘れによる具体的なリスクについて解説し、避妊効果を守るためのポイントをお伝えします。
避妊効果が減少する
1日の飲み忘れであれば避妊効果が著しく下がることはありませんが、以下のケースの場合は、避妊効果が減少する可能性があります。
・新しいシートの服用を忘れ、休薬期間が9日を超えた場合
・実薬(ホルモンが含まれている錠剤)を2日以上連続して飲み忘れた場合
休薬期間が9日以上空くと排卵が再開する可能性があるため、避妊効果が安定するまではコンドームなどの他の避妊方法を併用してください。
また、実薬を2錠以上飲み忘れた場合は、一旦服用を中止して出血を待ち、新しいシートを再開するのが適切です。
飲み忘れた当日までは避妊効果が持続している可能性がありますが、その後は効果が低下するため、妊娠のリスクが心配な場合はアフターピルについて医師に相談することをおすすめします。
不正出血が起きる
低用量ピルを飲み忘れると、体内の女性ホルモンが減少し、不正出血が起きる可能性があります。
本来、休薬期間やプラセボ期間中に消退出血(生理のような出血)が見られますが、飲み忘れにより通常と異なるタイミングで出血するリスクが高まります。
不正出血が少量であれば、飲み忘れたピルを服用しつつ、服用を継続してください。
副作用が原因の出血であれば、服用を続けることで改善する場合がほとんどです。
しかし、出血が長引く場合は、医師に相談することをおすすめします。
生理が来る
低用量ピルを服用していない状態が続くと、2日程度飲み忘れるだけで生理が始まることがあります。
このように出血が起こった場合でも、飲み忘れた場合の対応を適切に行うことが重要です。
実薬の服用を再開すれば、出血は徐々に収まり正常な状態に戻るとされているため、落ち着いて対処しましょう。
ピルの飲み忘れを防ぐには?
低用量ピルを確実に服用するためには、日常生活の中で飲み忘れを防ぐ仕組みを作ることが大切です。
ここでは、飲み忘れのリスクを減らすための具体的な方法を3つご紹介します。
自分に合った工夫を取り入れることで、ピルの正しい服用を習慣化しましょう。
休薬期間のないピルを服用する
ピルの飲み忘れを防ぎたい場合は、28錠タイプの低用量ピルを選ぶのがおすすめです。
このタイプは、21錠の実薬に7錠の偽薬(プラセボ)が含まれており、休薬期間がないため服用を継続しやすいのが特徴です。
飲み忘れが起きやすい休薬期間をなくすことで、毎日服用する習慣を維持できます。
特に飲み忘れが心配な方や初心者に適した方法です。
アプリやアラームでリマインドする
ピルの飲み忘れを防ぐには、アプリやアラームのリマインダー機能を活用する方法も効果的です。
最近では、ピルの服用時間を知らせてくれる専用アプリが多く提供されています。
また、スマートフォンのアラームやリマインド機能を設定するだけでも、服用時間を確実に管理できます。
このようなデジタルツールをうまく取り入れ、飲み忘れを未然に防ぎましょう。
予備のピルを持ち歩く
外出先や旅行中でも服用を忘れないように、バッグやポーチに予備のピルを持ち歩くと安心です。
専用のピルケースを使えば、持ち運びがしやすく、服用の習慣化にも役立ちます。
ただし、ピルは直射日光や高温多湿を避けて保管する必要があるため、環境に配慮した保管場所を選ぶようにしましょう。
予備を携帯しておけば、外出中に服用を忘れるリスクを軽減できます。
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【参考文献】
・低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)
・低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)