「ピルを服用すると女性らしくなるって本当?」
「バストアップするならピルを飲んでみたい」
ピルは、女性ホルモンが主成分として配合された飲み薬です。女性ホルモンが入っているため、服用すると女性らしくなるのではと考えている人もいるでしょう。
もしバストアップ効果などが望めるなら、積極的に飲みたいと思われている人もいるかもしれません。
今回は、ピルを服用すると女性らしくなるのか、バストアップは可能なのかを詳しく解説します。
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
ピルを服用すると女性らしい体つきになる可能性がある
結論から言うと、ピルを服用すると女性らしくなる可能性があります。
ピルにはいくつかタイプがありますが、女性らしくなる可能性が報告されているのは、低用量ピルと呼ばれるものです。
〈低用量ピルとは〉 女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が配合された薬です。1錠あたりに含まれるエストロゲンの量が30~40μgとなっています。 |
ピルで乳房増大の副作用が報告されている
低用量ピルにはOC(経口避妊薬)とLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)があります。
〈OCとLEPの違い〉 OCは避妊を目的として使用するもの、LEPは月経困難症や子宮内膜症などの治療を目的として使用されるものです。 |
このうち、OCを使用した長期投与臨床試験では、乳房増大の副作用が0.2~1.4%の人で見られたと報告されています。
この数字を見て分かるように、低用量ピルを服用したすべての人で乳房増大の副作用が見られるわけではありません。
低用量ピルでバストアップする可能性はあるものの、乳房増大の副作用が見られるのはごくわずかな人のみです。
肌質が改善する可能性がある
低用量ピルを服用すると、肌質が改善する可能性もあります。エストロゲンには、コラーゲンの生成を促進して肌のハリを保つ効果があるためです。
また、ニキビが改善する場合もあるでしょう。
「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」では、他の治療で改善が不十分な人に経口避妊薬を用いても良いとしています。
保険適用外ではありますが、もともとニキビ治療にも使われることがある薬のため、低用量ピルを服用によりニキビへの効果が見られても不思議ではありません。
ピルで女性らしくなるのは女性ホルモンが主成分のため
低用量ピルの服用で女性らしくなる働きが期待できるのは、低用量ピルの主成分が女性ホルモンのためです。エストロゲンとプロゲステロンには、それぞれ次のような働きがあります。
ホルモンの種類 | 主な働き |
---|---|
エストロゲン | 乳腺の発達を促して女性らしい体つきを作る コラーゲンの生成を促す 骨の形成を促す |
プロゲステロン | 体に水分を溜め込む 体温を上昇させる 食欲を増加させる |
女性らしくなるのと大きく関わっているのが、エストロゲンです。エストロゲンには乳腺の発達を促したり、女性らしい丸みのある体を作ったりする働きがあります。
また、プロゲステロンが水分を体に溜め込むことで胸が張り、バストが大きくなったと感じるケースも考えられるでしょう。
バストアップや女性らしくなるのを目的でピルを処方してもらうことはできない
低用量ピルを服用すると、乳房増大の副作用により体つきが女性らしくなる可能性があります。しかし、バストアップや女性らしくなるのを目的に低用量ピルを処方してもらうことはできません。
低用量ピルは月経困難症の治療や避妊のために処方されるものです。
ピルが処方される一般的な目的
低用量ピルは、一般的に以下のような目的や治療で処方されます。
避妊
低用量ピルには、避妊効果があります。飲み忘れがなく正しい用法用量で服用したときの避妊率は99.7%です。
低用量ピルの服用で避妊効果を得られるのは、次のような作用があることが関係しています。
- 排卵を抑制する
- 子宮内膜が分厚く育つのを抑制して受精卵が着床しにくい環境を作る
- 精子が子宮内に侵入するのを抑制する
月経困難症
低用量ピルは、月経困難症の治療にも用いられる薬です。適応があるのはLEPの方ですが、OCにも効果があることが分かっているため、こちらが処方される場合ります。
月経困難症とは、月経に伴って起こる病的な症状のことです。主に以下の症状があります。
- 下腹部痛
- 腰痛
- 腹部膨満感
- 吐き気
- 頭痛
- 疲労
- 脱力感
- 食欲不振
- イライラ
- 下痢
- 憂鬱
月経困難症の原因の一つが、プロスタグランジンの過剰分泌です。
〈プロスタグランジンとは〉 子宮内膜から分泌される物質です。子宮を収縮させ、子宮内膜を体の外に排出しやすいようにする働きがあります。 |
低用量ピルを服用すると、子宮内膜が分厚く育つのを抑えられるため、プロスタグランジンの分泌量も減少させられます。そのため、低用量ピルは月経困難症の治療にも有効なのです。
PMS

PMS(月経前症候群)の治療にも低用量ピルが用いられます。PMSを発症する原因は今のところはっきりとは分かっていません。
一説によると、生理周期に伴ってエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が変動することが関係していると考えられています。
低用量ピルを服用するとPMSが改善されることがあるのは、女性ホルモンの変動を少なくできるためです。
ニキビ
積極的に推奨されている治療法ではありませんが、ニキビの治療に低用量ピルが用いられることがあります。
他の治療では効果が十分に出ず、避妊効果を許容できる女性に有効です。未承認の治療法のため、保険は適用になりません。
ピルには乳房増大以外にも副作用がある
低用量ピルの副作用として乳房増大を紹介しました。しかし、乳房増大の副作用は比較的まれです。よく知られている副作用には、次のようなものがあります。
血栓症
低用量ピルでは、重大な副作用として血栓症が報告されています。血栓症とは、血の塊が血管に詰まる病気のことです。
次のような症状が見られたら、血栓症が疑われます。
- ふくらはぎの痛み
- ふくらはぎのむくみ
- 手足のしびれ
- 鋭い胸の痛み
- 突然の息切れ
- 胸部を押し潰されるような痛み
- 激しい頭痛
- めまい
- 失神
- 視覚・言語障害
頻度不明のまれな副作用ですが、これらの症状が見られたらすぐに低用量ピルの服用を中止して医師に相談しましょう。
悪心、嘔吐、下痢、腹痛
低用量ピルでは、悪心や嘔吐、下痢や腹痛など消化器症状の副作用も報告されています。特に悪心は報告数が多く、低用量ピルの一つであるトリキュラー錠を服用した人の29.4%で症状が見られました。
通常、これらの副作用は低用量ピルを2~3カ月服用すると症状が落ち着いてくることが多いといわれていますが、症状がつらいときやなかなか治まらないときは医師に相談しましょう。
不正性器出血
不正性器出血とは、月経のとき以外に生じる性器出血のことです。特に低用量ピルの飲み始めに現れやすい副作用として知られています。
2~3カ月服用すると落ち着いてくるので、あまり心配しすぎる必要はありません。ただし、症状が長引くときは医師に相談してください。
むくみ、体重増加
低用量ピルを服用すると、体内のホルモンバランスが変化する関係でむくみが生じる場合があります。これはプロゲステロンが水分を溜め込む働きをもつためです。
低用量ピルを服用してから体重増加が見られたとの報告もありますが、現在のところ因果関係は分かっていません。
むくみによって体重が一時的に増えたり食欲が増したりして体重が増えている可能性が考えられます。
ピルでお悩みならDMMオンラインクリニックへ相談
DMMオンラインクリニックは、オンラインで診察からピルの処方が完結できるサービスです。ビデオ通話やチャットを通して医師の診察を受けられます。処方されたピルは自宅へ郵送されるため、忙しいときなど婦人科や薬局に直接行くことなく、医師による診察が可能です。
ピルを服用すると女性らしくなることに関するよくある質問
最後に、ピルを服用すると女性らしくなることに関するよくある質問にお答えします。
ピルを服用すると肌がきれいになるのはなぜですか?
ピルを服用すると肌がきれいになる人がいるのは、ホルモンバランスが安定して皮脂の分泌が抑えられるためです。ニキビが出にくくなる効果を実感する人もいます。
ピルに美容効果はありますか?
ピルを服用すると、ニキビや肌荒れが治る場合があります。一方で、逆にニキビができてしまう人もいるため、美容効果を実感できるかどうかは人それぞれと言えるでしょう。
ピルを飲まない方が良い人はいますか?
以下に該当する人は、低用量ピルの服用が禁忌となっているため服用できません。
- 低用量ピルの成分に対して過敏症の既往がある人
- エストロゲン依存性悪性腫瘍、子宮頸がんがある人、またその疑いがある人
- 診断が確定していない異常性器出血がある人
- 血栓性静脈炎や肺塞栓症等がある人、またその既往歴がある人
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙をする人
- 前兆を伴う片頭痛がある人
- 肺高血圧症または心房細動を合併する心臓弁膜症の人
- 亜急性細菌性心内膜炎の既往歴がある心臓弁膜症の人
- 血管病変を伴う糖尿病患者の人
- 血栓症のリスクが高い人
- 抗リン脂質抗体症候群の人
- 手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内、長期間にわたり安静状態の人
- 重篤な肝障害がある人
- 肝腫瘍がある人
- 脂質代謝異常がある人
- 高血圧の人
- 耳硬化症の人
- 妊娠中に黄疸や持続性そう痒症、妊娠ヘルペスが出たことがある人
- 妊娠中の人、妊娠の可能性がある人、授乳中の人
- 骨の成長が終了していない可能性がある人
【参考文献】