2型糖尿病薬の治療薬であるメトホルミンとリベルサスは、ダイエット効果もあると報告されています。しかし、「どっちが効果があるの？」「副作用や危険性は？」ダイエット効果があってもどっちがいいか判断が難しいと思います。
この記事では、メトホルミンとリベルサスの違いと自分にあったダイエット方法を見つける方法を紹介します。
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆（ぐんしん まさたか）
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
メトホルミンとリベルサスの違い
メトホルミンとリベルサスは、どちらも体重減少効果があります。しかし、作用機序や効果を得られるタイミングなど違いはあります。その違いを解説します。
作用効果
| メトホルミン | リベルサス（GLP-1受容体作動薬） | |
|---|---|---|
| 効果 | ・肝臓の糖新生や消化管からの糖吸収を抑制し、血糖値をコントロールすることで食欲を抑える ・筋肉増量につながる | ・インスリン分泌を促す ・胃腸の動きを緩やかにする →満腹感持続により食事量を抑える ・脂肪燃焼作用 |
どちらも血糖値を下げて、食欲を安定させます。
副作用
メトホルミンもリベルサスにも副作用はあります。主な副作用は下記のとおりです。
| メトホルミン | リベルサス（GLP-1受容体作動薬） | |
|---|---|---|
| 副作用 | ・腹痛 ・嘔吐 ・下痢 ・乳酸アシドーシス（重大） | ・腹痛 ・嘔吐 ・下痢 ・低血糖（重大） ・急性膵炎（重大） |
どちらも吐き気や腹痛などの消化器症状が共通しています。しかし、大きな違いは、メトホルミンはインスリン分泌を促進する作用はないため、低血糖の危険性が低いという利点があります。
服用方法
服薬方法の違いもあります。メトホルミンとリベルサスの服薬方法は、ライフスタイルで大きく好みが分かれます。服用方法に違いは、下記のとおりです。
| メトホルミン | リベルサス | |
|---|---|---|
| 服用の注意点 | ・食後1日2～3回 1錠ずつ服用 | 1.朝、起床後すぐに摂取する ・空腹時 ・必ず約120ml以下の水（コップ半分程度）で飲む お茶や服薬ゼリー不可 噛み砕かない 2.服用後、30分は何も食べない ・他の服薬がある場合も30分空けてから服用する 3.1日1回、毎日同じ時間に飲む ・朝一番がベスト ・飲み忘れた場合：翌日の空腹時に内服する |
リベルサスは、胃に何も入っていない状態で効果を発揮します。食後や飲水後に服用すると十分な効果が発揮されません。生活が不規則な人は調整が難しく感じるでしょう。
メトホルミンは、食後の内服のため忘れにくいです。
費用
次に、費用相場を比較してみました。
| メトホルミン | リベルサス（GLP-1受容体作動薬） | |
|---|---|---|
| 費用相場 （30日分） | 500mg（250✕60錠）：3,000～4,000円 | 3mg：8,000～10,000円 7mg：15,000～20,000円 14mg：25,000～30,000円 |
値段はリベルサスが高い傾向にあります。また、注意すべきはどちらも自由診療という点です。日本でメトホルミンとリベルサスは、2型糖尿病に対する使用は承認されていますが、肥満症に対しての使用は承認されていません。
ダイエット効果の出現
メトホルミンとリベルサスの体重減少率をまとめてみました。約1年継続した結果が下記のとおりです。
| メトホルミン | リベルサス | ||
|---|---|---|---|
| 体重 減少率 | 平均1.3kg減少 | 3mg | −0.1% (−0.06kg) |
| 7mg | −2.0% (−1.2kg) | ||
| 14mg | −3.7% (−2.2kg) | ||
効果に個人差はありますが、リベルサスは５ヶ月で最高で10.6%体重減少したという研究報告もあります。メトホルミンは年単位で比較的緩やかに体重が減少していく傾向にあります。
メトホルミンとリベルサスどっちが向いている？
メトホルミとリベルサスどっちがいいのかは、ダイエットの希望期間によります。メトホルミンとリベルサスはどのような人に向いているのか紹介します。
メトホルミンが向いている人
メトホルミンは、比較的緩やかに効果を発揮します。また、下記のような人に向いています。
- 安全に体重を落としたい
- 費用を抑えたい
- 低血糖などの副作用を避けた
- 日々の生活が忙しく飲み忘れが多い
リベルサスが向いている人
リベルサスは前述したように服薬方法の注意点が多くあります。しかし、脂肪燃焼効果も期待でき、満腹感が持続するため運動不足の人にお勧めです。リベルサスに向いている人は下記のとおりです。
- 食べ過ぎが原因で肥満の人
- GLP‐1ダイエットを試したいが、注射が怖い
- 夜勤がなく、生活が不規則ではない
- 高い体重減少効果を出したい
メトホルミンとリベルサスは併用可能？
メトホルミンとリベルサスは、作用機序が異なるため併用可能です。
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【参考文献】
・石垣泰,片桐秀樹,肥満.日本内科学会雑誌,2013,102(4),p.895-901
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/4/102_895/_pdf/-char/ja
・リベルサス®錠を服用される方へ｜MSD製薬
・リベルサスとメトホルミンの違いは？ダイエット目的ならどっちがいい？｜ユナイテッドクリニック
https://united-clinic.jp/medical-diet/rybelsus-metformin/
・加来公平,2型糖尿病におけるメトホルミンの使用実態に関する観察研究.誌,2006,49(5),p.325-331
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/49/5/49_5_325/_pdf
・リベルサス錠｜糖尿病メモ
