カンジダ症とは、カンジダ菌によって引き起こされる感染症で、性器や口の中、手足に発症します。一般的に女性に多いと思われる病気ですが、実は男性にも感染する可能性があります。
男性がカンジダ症に感染する原因は、性行為や免疫力の低下、抗生物質の使用などです。感染しても無症状の方がほとんどですが、かゆみや水ぶくれなど症状が現れる方もいます。
この記事では、カンジダの男性への感染リスク、カンジダの症状や予防法について詳しく解説します。カンジダについて正しい知識を知って、感染を予防しましょう。また、パートナーとの関係をより良好にできるよう役立てれば幸いです。
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
カンジダは性行為で男性にうつるケースもある
カンジダは、性行為によって男性にも感染する可能性があります。ただし、感染経路は複雑で、必ずしも性行為だけが原因になる訳ではありません。カンジダ菌は、日常生活のさまざまな場面で接触する機会があるため、感染の正確な時期や経路を特定することは難しいです。[1]
たとえば、感染した女性と性行為をした男性がカンジダを発症するまでに、数日から数週間、もしくは何年もかかることがあります。[2]
この間、無症状のまま過ごすため、感染に気づかない方もいるでしょう。
とくに注意が必要なのは、カンジダ感染者との性行為の頻度が高い場合です。接触を繰り返すと、男性の性器周辺にカンジダ菌が定着しやすくなり、感染リスクが高くなるでしょう。ただし、一度の性行為で必ずカンジダに感染するわけではありません。
カンジダを発症する原因
カンジダ症は、健康な人の体内にも存在する「カンジダ菌」が異常に増殖して発症します。カンジダ菌は体内の免疫システムによってコントロールされていますが、バランスが崩れると、症状が現れることがあります。膣の中だけでなく、口の中や手足の指の間にも炎症を起こしてしまいます。
女性は膣内にある微生物の環境バランスが崩れやすいため、男性よりも発症するリスクが高くなります。抗生物質の使用、ストレス、糖尿病といった基礎疾患、ホルモンバランスの変化なども原因とされています。[3]
一方、男性の場合も、免疫力の低下や抗生物質の使用によってカンジダ菌が増殖し、症状が現れます。また、糖尿病や肥満なども発症リスクを高める要因となります。[4]
カンジダの症状
カンジダの症状は、男女で異なります。
- 男性の症状
- 女性の症状
女性の方が症状が出やすいですが、男性も感染する可能性があります。
男性の症状
多くの男性は自覚症状がありません。男性に症状が出るときは、以下のような症状が現れます。[3][5]
- かゆみを感じる
- 水ぶくれができる
- 陰茎の先端が赤くなる
パートナーが症状を訴えるまで、ご自身の感染に気づかないケースもあります。そのため、定期的な検査やパートナーとのコミュニケーションが重要です。症状がなくても、パートナーに症状があるときは、医療機関での検査を受けるようにしてください。
女性の症状
女性のカンジダ症状は、男性に比べて顕著に現れます。主な症状は、以下の通りです。[3][5]
- 性交痛を感じる
- おりものが変化する
- 皮膚が炎症している
- 膣に強いかゆみが出る
とくに注意が必要なのは、おりものの変化です。量が増えたり、におい・色・質感が変わったりすることがあります。白色や黄色のチーズ状のおりものが出たら、カンジダ症を発症しているサインです。[4]また、性交時の痛みや不快感も重要な症状です。これらの症状が続くときは、早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けてください。
カンジダの治療法
カンジダの治療は、適切な医療処置によって短期間で行うことができます。しかし、放置すると症状が悪化する可能性があるため、早期の治療が重要です。
カンジダの主な治療法には、以下のようなものがあります。[3][4]
- 飲み薬の服用する
- 軟膏やクリームの塗り薬を使用する
病院で治療を行えば、1週間程度で症状が改善します。[3]ただし、個人差があるため、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
とくに注意したいのは、カンジダを放置しても自然に治ることはほとんどないという点です。症状が軽いからといって治療をしないでいると、症状が悪化したり、パートナーに感染させたりする可能性があります。早めに医療機関を受診するようにしてください。
カンジダの検査
カンジダの正確な診断のためには、医療機関での検査が必要です。検査は簡単にできて、痛みを伴うことはありません。
カンジダの主な検査方法には、以下のようなものがあります。[3][4][6]
- 顕微鏡検査
- 培養検査
顕微鏡検査は、患部から採った表皮やおりものを顕微鏡で観察する検査で、カンジダの胞子がないかを確認します。培養検査とは、カンジダ菌をあえて増やし、菌の種類や効果のある薬を調べる検査です。
これらの検査によって、カンジダ感染の有無だけでなく、適切な治療法を判断できます。
カンジダの予防法
カンジダ感染に効果的な予防法には、以下の5つがあります。
- コンドームを使用する
- 通気性の良い下着を選ぶ
- 膣を洗い過ぎないようにする
- 運動する習慣をつける
- 6時間以上の睡眠をとる
予防法を実践すれば、カンジダ菌の増殖を抑え、感染リスクを下げられます。
コンドームを使用する
コンドームの使用は、カンジダ感染の予防に効果的な方法です。[3]
性行為の際にコンドームを正しく使用すれば、カンジダ菌の伝染を防げます。コンドームは直接的な接触を防ぎ、菌の移動を抑制する役割を果たします。
ただし、コンドームだけで完全に予防できるという訳ではありません。射精する前でも、精子は出るため、膣内に入ってしまうと感染や妊娠の可能性があります。コンドームを使用する際は、正しい装着方法を守り、適切なサイズのものを選ぶことが重要です。[7]
また、性行為の度に新しいコンドームを使用するのを忘れないようにしましょう。
通気性の良い下着を選ぶ
カンジダ感染の予防において、通気性の良い下着を選ぶことは大切です。
綿といった天然素材で作られた通気性の高い下着を着用すれば、湿気を防いで、カンジダ菌の増殖を抑えられます。通気性が高いと陰部に湿気がこもりにくく、健康的な環境を保てます。
一方で、締めつけの強い下着や合成繊維の下着は避けるようにしましょう。[4]また、下着は毎日清潔なものに交換し、洗濯後は十分に乾燥させることも大切です。下着や洋服が濡れてしまったら、なるべくすぐに着替えてください。これらの習慣を続ければ、カンジダ感染のリスクを減らせます。
膣を洗い過ぎないようにする
膣を洗いすぎることは、かえってカンジダ感染のリスクを高める可能性があります。[3]
膣には、外からの力を借りずに洗浄できる「自浄作用」があります。適度な清潔さを保ちつつ、膣内の自然な環境を乱さないことが重要です。[8]
過剰に洗うと、膣内の善玉菌のバランスを崩し、カンジダ菌の増殖を促す可能性があります。膣内を石鹸で洗ったり、膣洗浄器を頻繁に使用したりするのは避けましょう。毎日のケアでは、ぬるま湯で軽く洗い流す程度にしてください。強くこすったり、香料入りの製品を使用したりすることは控えましょう。自然な膣内環境を維持することが、カンジダ感染予防につながります。
運動する習慣をつける
定期的な運動は、身体の健康を維持するだけでなく、カンジダ感染の予防にも有効です。
適度な運動は免疫機能を向上させ、身体の抵抗力を高められます。運動は血行を促進し、免疫細胞の活性化につながります。[9]
18~64歳の方の運動量の目安は、週に60分、息がはずんで汗をかく程度の運動を続けることです。ウォーキングやジョギング、水泳などご自身に合った運動を選びましょう。[10]
ただし、過度な運動は逆効果になる可能性があるため、ご注意ください。運動を始める際は、徐々に強度を上げていくことが大切です。また、運動後はすぐ汗を拭き取って、清潔な服に着替えるのを忘れないようにしましょう。持病がある方は、病院に相談をしてから、指示に従うようにしてください。
6時間以上の睡眠をとる
十分な睡眠は、身体の免疫機能を維持するために欠かせません。6時間以上の質の良い睡眠をとれば、免疫を維持できるので、カンジダ感染の予防につながるでしょう。
毎晩同じ時間に就寝し、朝も規則正しく起きる習慣をつけてください。睡眠の質も重要なので、快適な睡眠環境を整えることが大切です。部屋の温度は20℃前後で、湿度は40~70%ほどにすると良いとされています。寝具や照明などは、ご自身に合うものを選びましょう。できるだけ部屋を暗くして寝ることが、良い睡眠につながります。[11]
また、就寝前にスマートフォンを使用するのはお控えください。ブルーライトを多く含むため、体内時計が乱れてしまう原因となります。[12]
カンジダに感染したら性行為はしない
カンジダに感染したら、治療が完了するまで性行為を控えることが重要です。自身の回復を早めるだけでなく、パートナーへの感染リスクを減らすためでもあります。[3]
カンジダに感染している状態で性行為をすると、パートナーに感染したり、症状が悪化して治療が長引いたりする恐れがあるでしょう。
医師の診断を受け、適切な治療を行うことが大切です。治療中は性行為を控え、完治後に再開するようにしましょう。
完治の判断は自己診断ではなく、必ず医師の指示に従うことが重要です。これにより、再発や再感染のリスクを下げられます。
カンジダの診察はDMMオンラインクリニックへ
カンジダは、性行為によって男性にもうつる可能性があります。男性がカンジダに感染しても、自覚症状がない場合がほとんどです。しかし、中にはかゆみを感じたり、水ぶくれができたりする方もいます。
症状があるのに「忙しくて病院に行く時間がない」「性感染症で受診するのは恥ずかしい」という方は、自宅で診療が受けられるDMMオンラインクリニックがおすすめです。検査キットや薬も自宅に届くため、待ち時間がかからず他人の目も気になりません。ぜひ利用を検討してみてください。
また、カンジダかもしれないと思ったら、性行為をお控えください。パートナーに感染させたり、症状が悪化する恐れがあります。
【参考文献】
[1]性器カンジダ症|東京都性感染症ナビ
https//www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/seikansensho/knowledge/candidiasis/index.html
[2]その他性感染症(クラミジア、淋病など)|大阪市
https//www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000085965.html
[3]Genital candidiasis|Tokyo Sexual Health
https//www.tsh.ncgm.go.jp/stds/genitalcandidiasis.html
[4]カンジダ症(真菌感染症)|MSDマニュアル家庭版
https//www.msdmanuals.com/ja-jp/home/17-皮膚の病気/皮膚真菌感染症/カンジダ症-真菌感染症
[5]性器カンジダ症|日本性感染症学会
https//jssti.jp/pdf/guideline2008/02-10.pdf
[6]国内でよくみられる侵襲性真菌症~カンジダ症~|国立感染症研究所
https//www.niid.go.jp/niid/ja/from-lab/476-fungi/9090-fungi-candidiasis.html
[7]感染予防方法 コンドームを使おう |大阪市
https//www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000352620.html
[8]Bacterial vaginosis|Tokyo Sexual Health
https//www.tsh.ncgm.go.jp/stds/bacterialvaginosis.html
[9]健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
https//www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
[10]習慣的に運動しよう|とうきょう健康ステーション
https//www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kensui/undou/undou.html
[11]不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https//www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
[12]健康づくりのための睡眠ガイド2023