「AGAを20代で発症したんだけど、治るものなの?」
「薄毛の進行を防ぐ方法が知りたい」
AGA(男性型脱毛症)は20歳代後半から30歳代にかけて症状がはっきりしてきます。そのため、20代でAGAを発症するのは不思議なことではありません。
一般に10代や20代で発症するAGAは若ハゲや若年性AGA(若年性脱毛症)と呼ばれます。このことから、20代でAGAになるのは早い方であると分かるでしょう。
早い時期にAGAを発症したからこそ「治るのかな?」「どうしたらいいの?」と迷ってしまう方も多くいるはずです。
そこで今回は、20代で発症したAGAが治るのか、薄毛の進行を抑える方法があるのかを詳しく解説します。
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
20代でもAGAは治らない
AGAは完治しない病気です。20代で発症するのは早い方ですが、それでも治ることはありません。しかし、20代ならAGA治療を早期に始めることで高い治療効果を得られる可能性があります。
AGA治療は根本的な解決にはなりませんが、進行を抑えて症状を改善することが可能です。AGA治療を開始するのが遅くなればなるほど効果は出にくくなります。
これは、毛母細胞が寿命を迎えてしまうためです。
髪の毛の元になる細胞です。毛乳頭から栄養素を受け取って細胞分裂をし、髪の毛を伸ばします。
AGAを発症している方では、毛周期のサイクルが早く回るため、毛母細胞の寿命も早くきてしまいます。
髪の毛が生え変わるサイクルのことです。毛周期には「成長期」「退行期」「休止期」の3つの時期があります。
健康な方では成長期の期間が約2~6年ありますが、AGAを発症している方では数カ月から1年程度しかありません。毛母細胞が細胞分裂できる回数は限られているため、毛周期が早く回ると毛母細胞が早く寿命を迎えてしまうのです。
20代でAGAを発症しても早期に治療を行えば、毛母細胞がまだ活性をもっているため治療効果が出やすくなります。
20代でもAGAを発症する原因3つ
20代でAGAを発症する割合は約10%です。約10人に1人はAGAを発症します。20代ではAGAを発症しない方のほうが多いのですが、発症する方とそうでない方とで何か違いがあるのでしょうか。
20代でAGAを発症する原因は、主に3つあります。
ジヒドロテストステロンの影響
AGAの発症に最も大きく関与しているのが、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)です。ジヒドロテストステロンが男性ホルモンレセプター(男性ホルモン受容体)に結合すると、脱毛因子が誘導され毛母細胞の働きが抑制されます。
その結果、細くて短い髪の毛が増えて薄毛が目立つようになるのです。
遺伝の影響
20代でAGAを発症する原因には、遺伝も関与してます。X染色体と常染色体にAGAの発症に関係している遺伝子があることが研究により明らかになりました。
遺伝による影響はとても大きく、特に男性ホルモンレセプターと5αリダクターゼ(5α還元酵素)の遺伝子がAGA発症に影響を与えていることが分かっています。
ジヒドロテストステロンを産生するのに必要な酵素です。テストステロンに5αリダクターゼが働くと、ジヒドロテストステロンが産生されます。
男性ホルモンレセプターの遺伝子は、遺伝リスクの最大40%に寄与しているとも推定されており、AGA発症の大きな原因の一つです。
男性ホルモンレセプターに関与する遺伝子がX染色体上にあることも研究により明らかになっています。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れも20代でAGAを発症する原因です。AGAの原因の多くはジヒドロテストステロンや遺伝が占めていますが、食生活や睡眠の質なども影響していると考えられます。
バランスの悪い食生活を続けていると、髪の毛の成長に必要な栄養素を十分に摂取できません。また、睡眠の質が悪いと、成長ホルモンの分泌量が少なくなり髪の毛に影響が出る可能性があります。
20代こそAGA治療が大切な理由3つ
20代でAGAを発症したからといって、悲観的になる必要はありません。AGAは治療により改善できます。また、20代でAGA治療を始めることにはメリットもあります。
20代はAGAの治療効果が出やすい
20代は、AGAの治療効果がまだまだ出やすい時期です。毛母細胞の活性が失われていないため、治療薬の効果が出やすいのです。
40代や50代と治療が遅れるにつれて、毛母細胞の寿命が近づき、薬を使用しても効果が出づらくなります。そう考えると、20代でAGAの治療を始めるのはとても効率が良いといえるでしょう。
複数の治療薬を試しやすい
20代ならAGAの進行が大きく進むまでまだ時間があります。そのため、治療効果を見ながら自分に適切な治療薬を複数試すことが可能です。
若いうちにAGA治療を始めるからこそ、治療の選択肢が広がります。
治療費を抑えやすい
20代のAGAは、まだ症状が大きく進行していないことがほとんどです。症状が軽いうちでしたら、AGA治療薬の料金は比較的安く済みます。
逆に、大きく進行してからAGA治療を始めると、薬の種類や量が増えるため料金が高くなりがちです。治療費を抑えてAGA治療をしたいのなら、20代のうちから始めましょう。
20代でAGAの進行を抑える方法5つ
20代のAGAは、生活習慣の見直しで改善する可能性があります。もちろん、一番良いのはクリニックで専門の治療を受けることです。
治療に抵抗がある方、まずは普段の生活の見直しをしたい方は、生活習慣から変えていきましょう。
バランスの良い食事を心がける
髪の毛が健康に育つためには、栄養素が必要です。日頃からバランスの良い食事を摂るように心がけましょう。
特に意識して摂取したいのが、タンパク質と亜鉛です。髪の毛の80~90%は、ケラチンと呼ばれるタンパク質が占めています。
亜鉛は、ケラチンを生成するのに必要な栄養素です。不足すると、脱毛を起こすことがあります。AGAを発症している方では、そうでない方と比べると亜鉛の濃度が有意に低いことも分かっています。
AGAの進行を抑えるためにも亜鉛を積極的に摂取しましょう。タンパク質、亜鉛を多く含む代表的な食品は以下の通りです。
タンパク質 | 亜鉛 | |
---|---|---|
多く含む食品 | 卵 ごまさば 大豆 ささみ 鶏むね肉 | 牡蠣 かたくちいわし 牛ひき肉 牛もも肉 カシューナッツ |
ストレスを溜めない
ストレスを溜め込まないようにこまめに発散しましょう。ストレスが溜まると、交感神経が優位になって血管が収縮し、血流が悪くなります。
また、自律神経のバランスが乱れて髪の毛の成長に影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。休息をとったり趣味の時間を作ったりしてストレスを溜めないように気をつけましょう。
質の良い睡眠をとる
睡眠は髪の毛の成長を促すためにも必要なものです。まずは、睡眠時間を確保するところから始めましょう。必要な睡眠時間は人によって違いますが、一般的には6~8時間が適正な睡眠時間だと考えられています。
睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることも大切です。質を高めるためには、次のポイントを押さえておきましょう。
- 就寝の2時間前から強い光を浴びるのを控える
- 就寝の1~2時間前に入浴する
- 冬季は部屋の温度を温かくしてから寝る
- 日頃から適度な運動を行う
- 朝食を摂る
- 就寝前にリラックスする時間を作る
禁煙する
喫煙している方は禁煙しましょう。がんや呼吸器疾患の原因になることはよく知られていますが、実は髪の毛の成長にも悪い影響を与えます。
タバコに含まれているニコチンが血管を収縮させるため、血流が悪くなって栄養素が髪の毛に行き渡りづらくなるのです。また、毛包周囲線維症の原因になることも知られています。
毛包周囲の組織が線維化したり炎症を起こしたりし、毛包が正常に機能しにくくなる病気です。毛包は髪の毛を産生する働きがある組織のため、正常に機能しなくなると抜け毛や薄毛の原因となります。
ヘアケアの方法を見直す
間違ったヘアケアを続けていると、抜け毛や薄毛が進行する可能性があります。普段のヘアケアが髪の毛に負担をかけていないか、今一度見直してみてください。
洗浄力の強いシャンプーを使っていると、頭皮が乾燥してバリア機能が低下し、皮膚トラブルが起こりやすくなります。
また、合わない成分が配合されているヘアケアアイテムもかゆみや赤み、フケなどを引き起こす原因です。皮膚トラブルは抜け毛や薄毛を誘発する可能性があるため、正しいヘアケアを心がけましょう。
20代のAGAに用いられる主な治療法7つ
20代のAGAを治療する方法は、主に7つあります。メジャーなのは、ミノキシジルの外用薬やフィナステリド、デュタステリドの内服薬を使う方法です。
ミノキシジル
ミノキシジルには、内服薬と外用薬があります。どちらも毛周期を整えて成長期の期間を長くし、発毛を促す成分です。血管を拡張して血流を良くする働きもあります。
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」ではミノキシジルの外用薬の使用が推奨されていますが、内服薬も有効性や安全性が確認されているため、治療に用いられることが珍しくありません。
フィナステリド(プロペシア)
フィナステリドは、Ⅱ型の5αリダクターゼを阻害してジヒドロテストステロンの産生を抑制する薬です。フィナステリド1mgを3年間継続して服用してもらった研究では、軽度改善以上の効果が78%の症例で見られています。
別の研究でフィナステリド1mgを5年間服用してもらったところ、写真評価において99.4%の方で効果が見られました。
デュタステリド(ザガーロ)
Ⅰ型とⅡ型の5αリダクターゼを両方阻害してジヒドロテストステロンの産生を抑制し、AGAの進行を止める薬です。2種類の5αリダクターゼを阻害できるため、フィナステリドよりも効果が出やすいといわれています。
デュタステリド0.5mgとフィナステリド1mgで効果を比較したところ、デュタステリドの方が髪の毛の本数や直径が増加したとの結果が出ています。
カルプロニウム塩化物
血管を拡張し、血流を良くして髪の毛の成長を促す薬です。円形脱毛症の治療にも用いられています。10%カルプロニウム塩化物の外用薬を4名の男性に77~129日間使用してもらったところ、4例中2例で脱毛の抑制や軽度の発毛効果が確認されました。
AGAに効果があるとされていますが、ミノキシジルの外用薬と比べると効果が劣るため、積極的に使用されることはあまりありません。
ケトコナゾール
AGAの原因であるジヒドロテストステロンを抑制する働きがあります。また、抗真菌作用をもつため、頭皮環境を良好に保つことも可能です。
2%のケトコナゾールシャンプーを使用した試験では、使用開始6カ月から髪の毛の成長期率や直径の平均値が増加したとの結果が出ています。
植毛
AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部から髪の毛を皮膚組織ごと採取し、薄毛の部分に移植する治療です。移植した髪の毛が生着すれば、治療は1回で完了します。
ただし、AGAを根本的に治すものではないため、時間が経ってAGAの症状が進行し薄毛の部分が広がった場合は、再び移植が必要になるケースもあります。
メソセラピー
成長因子や薬剤などを頭皮に直接注入する治療法です。クリニックによって、注入する成分の種類は変わります。注入する成分は、次のものが代表的です。
ミノキシジル | 成長期の期間を正常に戻して発毛を促す。 |
---|---|
フィナステリド | Ⅱ型の5αリダクターゼを阻害してジヒドロテストステロンの産生を抑制し、AGAの進行を抑える。 |
IGF(インスリン様成長因子) | 毛母細胞の数を増やす。 |
VEGF(血管内皮細胞増殖因子) | 血管の分岐を促進し、髪の毛に栄養素が届きやすいようにする。 |
KGF(ケラチン細胞増殖因子) | 髪の毛の成長を促したり頭皮環境を整えたりする。 |
亜鉛 | 髪の毛を構成するケラチンを作るサポートをする。 |
タンパク質 | 髪の毛を構成するタンパク質を補充する。 |
ビタミン・ミネラル | 髪の毛の成長をサポートする。 |
20代のAGAはDMMオンラインクリニックへ相談しよう
「AGAを発症したけど、どこのクリニックを選んだら良いのか分からない」「クリニックが近くにない」という方もいるでしょう。
そのような方に多く利用されているのが、DMMオンラインクリニックです。DMMオンラインクリニックなら、自宅にいながらあなたの症状に合ったAGA治療を受けられます。
スマホ1台で隙間時間に診察を受けられる
DMMオンラインクリニックは、オンライン診療に特化したサービスです。スマートフォンやタブレット、パソコンなどがあればどこにいても医師による診察を受けられます。
診察は24時間いつでも好きなときに受けられるので、隙間時間を有効活用して受診することも可能です。
誰にもバレずにAGAの治療ができる
DMMオンラインクリニックは、オンライン上で診察が完結します。通信環境さえ確保できれば、どこで受診しても構いません。クリニックまで足を運ぶ必要がないため、通院していることを誰にも知られずに治療を続けられます。
豊富な治療薬が用意されているので自分に合うものが見つかりやすい
DMMオンラインクリニックでは、次のように豊富な治療薬が用意されています。
- フィナステリド1mg
- 国内製フィナステリド1mg
- 国内製デュタステリド0.5mg
- ミノキシジルタブレット2.5mg
- ミノキシジルタブレット5mg
- ミノキシジルタブレット10mg
- ミノキシジルローション15%
- カルプロニウム塩化物外用液5%
- AGAタブレット L-リジン
- AGAシャンプー
こちらは処方の一例です。
単剤での処方も、組み合わせての処方もしてもらえます。治療薬が豊富なため、自分に合うものがきっと見つかるでしょう。
20代のAGAは早期治療で改善できる!
20代のAGA治療は早期治療を行うことで改善できる確率が高くなります。20代ではまだ毛母細胞の活性が失われていないため、AGA治療薬が効果を発揮しやすいのです。
AGA治療の開始が遅れると、毛母細胞が寿命を迎えて治療効果が出にくくなります。手遅れになるのを防ぐためにも、AGAが気になり始めたら早期に治療を受けることが大切です。
20代のAGAに関するよくある質問
最後に、20代のAGA治療に関するよくある質問にお答えします。
20代のAGA治療の効果が出るまでにどれくらいの時間がかかりますか?
ミノキシジルの外用薬は4カ月、ミノキシジルの内服薬とフィナステリド、デュタステリドは効果が出るまでに6カ月ほどかかります。
20代でAGA治療を始めれば完治しますか?
AGAは進行性の病気のため、20代で治療を始めても完治しません。AGA治療薬にも完治させる効果はありませんが、進行を止めて発毛を促すことで抜け毛や薄毛を改善できます。
AGA治療は一生続きますか?
髪の毛が生えている状態を維持したいのなら、AGA治療の継続が必要です。再発しても良い方、何らかの理由で治療が困難になった場合は治療を中止できます。
20代のAGA治療にかかる費用はどれくらいですか?
DMMオンラインクリニックでは、1カ月あたり2,097円から治療を行えます。その人の症状に合わせて最適な治療を提案してもらえるので、まずはお気軽にご相談ください。
【参考文献】
脱毛症 Q1 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
Genetic and molecular aspects of androgenetic alopecia
Serum biotin and zinc in male androgenetic alopecia
Role of Smoking in Androgenetic Alopecia: A Systematic Review