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カンジダは再発しやすい?繰り返す原因・市販薬・予防法を解説

カンジダは再発しやすく、治療しても繰り返し発症することが比較的多い疾患です。

過去にカンジダを経験した方の約半数が再発し、3回、4回と繰り返すケースも珍しくありません。通院頻度が高いと肉体的・精神的に負担となり、再発を防ぎたいと考える患者様もいらっしゃいます。カンジダの再発を防ぐには、原因を理解し生活習慣を改善することが大切です。

この記事では、カンジダが再発する原因や症状、市販薬の選び方、再発しないための予防法について解説します。

この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)

1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。

目次

カンジダが再発する原因

カンジダが再発する原因として、次のものが挙げられます。

  • ストレス
  • デリケートゾーンの蒸れ
  • 女性ホルモンの変化
  • 抗生物質の服用
  • 糖尿病
  • その他

カンジダが再発する原因には、膣内に常在する乳酸菌「デーデルライン桿菌(かんきん)」の減少が大きく関わっています。

デーデルライン桿菌は善玉菌の一種であり、乳酸を分泌して膣内のpHを4~5の酸性に保っています。病原菌が増殖しやすいpHは7前後なので、デーデルライン桿菌によって膣内の環境が整えられているといえるでしょう。

デーデルライン桿菌の関係性も含めて、カンジダが再発する原因を1つずつみていきましょう。

ストレス

ストレスが溜まると膣内でカンジダ菌が増殖し、再発することが多いです。

これは、ストレスによって女性ホルモンの分泌が低下し、デーデルライン桿菌が減少するからです。

膣内環境を整えるデーデルライン桿菌は、増殖にグリコーゲンが必要です。

グリコーゲンは女性ホルモンと深い関係があり、ストレスによって女性ホルモンの分泌が低下するとグリコーゲンの量が減ります。

するとデーデルライン桿菌が減少し、カンジダが増殖して再発する可能性が上昇します。

ストレスがカンジダの再発につながることをおさえておきましょう。

デリケートゾーンの蒸れ

デリケートゾーンで湿った状態が続くと、カンジダ再発のリスクが高まります。

これは、カンジダ菌が高温多湿で増殖しやすいためです。

特に、梅雨の時期や夏はカンジダの患者さんが増えることが多いです。

通気性の悪い下着や締め付けの強いズボンも、デリケートゾーンの蒸れにつながります。

デリケートゾーンの蒸れは不快感だけでなく、カンジダが再発する原因の1つです。

女性ホルモンの減少

女性ホルモンが減少すると、カンジダは再発しやすいです。

これは、女性ホルモンがデーデルライン桿菌の増殖に関係しているからです。

デーデルライン桿菌はグリコーゲンを栄養にして増殖します。

グリコーゲンは膣壁の細胞に蓄えられており、蓄えを増やすためには女性ホルモンが必要です。

しかし女性ホルモンは月経前後や閉経後には減少するため、そこでグリコーゲンの蓄えが減るとデーデルライン桿菌は十分に増殖できません。その結果、カンジダが増殖し、再発しやすくなります。女性ホルモンが減少する月経前後や閉経後は、カンジダが再発しやすいと覚えておきましょう。

抗生物質の服用

感染症治療で処方される抗生物質は、カンジダ再発のリスクを高めます。

抗生物質は感染症を治療する一方で、デーデルライン桿菌などの良い菌も減少させるためです。デーデルライン桿菌による乳酸の分泌が減ると、カンジダ菌が増殖しやすい環境が整います。

カンジダを繰り返す場合は抗生物質の服用がないか確認し、服用している場合は医師と相談しましょう。

糖尿病

糖尿病の方は、カンジダが再発しやすいと言われています。

なぜなら尿に含まれる糖分は、カンジダ菌の栄養となるからです。

SGLT2阻害薬という糖尿病のお薬は、カンジダを起こしやすいことで知られています。

これは、SGLT2阻害薬が大量の糖分を尿中に排出する作用をもち、カンジダ菌が増殖しやすくなるためです。

頻繁にカンジダが再発する場合は、医師と相談し糖尿病のお薬を変更する場合があるので、糖尿病の方は処方されているお薬を確認しましょう。

その他

免疫抑制剤の服用や陰部の過度な洗浄も、カンジダ再発の原因です。

なぜならお薬による免疫力の低下や、洗浄による膣内環境の乱れがカンジダの増殖につながるためです。

カンジダを繰り返している場合は、免疫抑制剤を服用していないか、陰部を洗浄しすぎていないか確認しましょう。

主なカンジダの症状

カンジダの代表的な症状は、かゆみとおりものの変化です。

具体的な症状を確認しましょう。

かゆみ

腟や外陰部の炎症により強いかゆみが生じ、痛みや腫れをともなうこともあります。

カンジダは、月経前の1週間に症状が悪化することが多いです。

症状の感じ方には個人差があり、かゆくない方もなかにはいますが、仕事や勉強に集中できないなど日常生活に支障をきたすこともあります。

我慢できずに引っ掻いてしまったり、陰部をシャワーで強く洗浄したりすると、さらにカンジダの症状が悪化する可能性があるため注意しましょう。

おりものの変化

カンジダ菌が増殖すると、おりものがカッテージチーズや酒粕のようにポロポロとした状態になり白く濁ります。

ヨーグルト状と表現されることもあり、おりものの量が増加する場合もあります。

ただし、おりものの変化は、カンジダ以外の疾患でもみられるため注意が必要です。

カンジダと区別しづらい疾患は以下のとおりです。

  • 細菌性腟炎
  • クラミジア
  • トリコモナス腟炎
  • 淋(りん)菌性腟炎

これらの疾患の場合は、市販薬では治せません。

カンジダの再発かどうかわからない場合や、お薬を使用しても改善しない場合は病院を受診しましょう。

カンジダの再発に効果のある市販薬

カンジダの再発時には、市販薬でも抗菌作用があり、症状を緩和できるため効果的です。

市販薬には以下の2つのタイプが販売されています。

  • 膣錠、膣坐剤
  • クリーム

市販薬それぞれの効果の違いや選び方をみていきましょう。

膣錠、膣坐剤

膣錠は錠剤状で、膣内の水分により錠剤が徐々に溶けて効果を発揮します。

膣坐剤は体温ですぐに溶けて効果を発揮し、滑りやすく挿入時の痛みを軽減しやすいのが特徴です。

膣錠や膣坐剤には、1回のみ使用する1日療法タイプと、6日間連続して使用する6日療法タイプがあります。

1日療法タイプは挿入する回数を1回にしたい方に、6日療法タイプは膣錠が落ちやすい方におすすめです。

なお、膣錠や膣坐剤は就寝前に使用するのが効果的です。

日中に使用すると、溶けたお薬が膣内に留まりづらく、効果が薄れる可能性があります。

以下のケースでは、膣錠や膣坐剤が有効です。

  • カンジダの症状が膣内のみで、白いカッテージチーズやヨーグルトのようなおりものがみられる場合
  • 外陰部のかゆみなどの症状がない場合

外陰部にかゆみやヒリヒリとした感じがあるときは、クリームとの併用が効果的です。

膣錠のみ使用するよりも、カンジダの改善効果が期待できます。

クリーム

おりものの変化がなく、外陰部のかゆみが生じている場合はクリームを使用しましょう。

カンジダの症状がある部位よりも広めに塗ることが大切です。

少量だけ塗ると、カンジダ菌の抑制効果が不十分になる可能性があるため注意しましょう。

膣錠や膣坐剤は1日1回就寝前に使用しますが、クリームは1日2~3回塗布する必要があります。塗り忘れないように心がけましょう。

カンジダの市販薬を購入する際の注意点

カンジダの市販薬は薬局やドラッグストアで手軽に購入できるため便利ですが、2つ注意点があります。

  • 過去に病院でカンジダを治療した方のみ購入できる
  • 薬剤師による確認を受けたうえで購入できる

それぞれ詳しくみていきましょう。

過去に病院でカンジダを治療した方のみ購入できる

カンジダを初めて発症した方は市販薬の購入ができません。

病院で診断を受けたことがない方は、かゆみなどの症状から本当にカンジダなのか自己判断しづらいからです。

そのため、過去に病院でカンジダを治療した方のみ、再発時に購入できます。

カンジダと似た症状があっても、初回は必ず病院で診察を受けましょう。

薬剤師による確認を受けたうえで購入できる

カンジダの市販薬は以下のようなチェック項目に該当しないか、薬剤師による確認を受けたうえで購入できます。

  • 15歳未満または60歳以上の方
  • 妊婦または妊娠している可能性がある方
  • 発熱、吐き気、おりものに血が混ざっている、排尿時痛などがある方
  • 糖尿病の方 
  • ワルファリンなどの抗凝血剤を服用している方
  • 2ヵ月に1回または6ヵ月以内に2回以上カンジダを繰り返している方
  • 腟カンジダの再発かわからない方

このほか、月経中はカンジダのお薬を使用できないので、使用中の場合は中止しましょう。

月経の終了とともにカンジダが治まることはありますが、この場合は念のため病院を受診して、完全に治ったか確認してもらいましょう。

カンジダを再発しないための予防法

カンジダの再発予防には、生活習慣の見直しが効果的です。

具体的な対策をご紹介します。

ストレスをためすぎない

ストレスをためないようにすると、カンジダの再発予防につながります。

ストレスが膣内環境を乱し、カンジダが増殖しやすい環境をつくるためです。

繰り返しカンジダを発症する方は、以下のストレス解消法を試してみましょう。

  • ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を取り入れる
  • ぬるめのお風呂に入ってリラックスする
  • 趣味の時間をつくり心のリフレッシュを図る

陰部を洗いすぎない

入浴時に膣内まで洗うと、膣内環境が崩れカンジダが再発しやすいです。

膣内まで洗うのは避けましょう。

また、トイレでビデを使用する際も、膣内に水が入らないよう注意が必要です。

カンジダの再発を予防するために、陰部は洗いすぎないようにしましょう。

通気性の良い服装にする

通気性の良い服装を心がけると、カンジダの再発予防につながります。

タイトなズボンやストッキングは避け、ゆったりとした服装を心がけましょう。

また、下着の素材にも通気性の良し悪しがあります。

シルク・ウール・綿の下着は通気性が良く、カンジダ予防に適しています。

カンジダが再発しやすい状況では、通気性の良い服装を心がけましょう。

ナプキンをこまめに交換する

ナプキンはこまめに交換することが大切です。

長時間同じナプキンを使用すると、陰部が蒸れてカンジダ再発の原因となります。

おりものシートを使用する際もこまめに交換するのがおすすめです。

月経中は、トイレへ行くたびにナプキンを交換しましょう。

糖質を摂りすぎないようにする

糖質はカンジダ菌の栄養源となるため、糖質の過剰摂取はカンジダ再発につながります。

とくに、ブドウ糖や果糖などの単糖類はカンジダ菌を増殖させます。

カンジダの再発予防のため、果物やハチミツ、ジュースの摂取を控えましょう。

DMMオンラインクリニックで定期的な検査をしよう

カンジダが再発する原因や症状、市販薬の選び方、再発しないための予防法について解説しました。

ストレスや女性ホルモンの変動など、体調のわずかな変化がカンジダ再発につながる可能性があります。

DMMオンラインクリニックでは、自宅にいながら診察から治療まで完了します。

スマホやパソコンから24時間いつでも受診可能で、医師が状態を丁寧に診断し、診察料0円で適した処方薬を提案してくれます。

カンジダが再発した場合は、薬局やドラッグストアで市販薬を購入できます。
かゆみやおりものの異常がみられたら、早めに市販薬で治療すると症状の悪化を防げます。


参考文献

1.フレディ|ロート製薬

https://jp.rohto.com/flady/fladycc/about

2.デーデルライン桿菌とは? 膣の自浄作用を促す働きについて|大鵬薬品工業株式会社

https://rosell1152.jp/doderlein-bacillus

3.性器カンジダ症を繰り返すのはなぜ?治らない原因と再発予防の方法|わかもと製薬

https://wakamoto-pharm.co.jp/wakanote/delicate-zone/repeat-genital-candidiasis

4.膣カンジダ|日本OTC医薬品協会

https://www.jsmi.jp/selfmedication/advice/w_kanjida.html

5.カンジダ膣外陰炎|山口県医師会

http://www.yamaguchi.med.or.jp/g-med/ube/consultation/058.html

6.腟カンジダが再発?!注意すべきポイントや予防法を解説|田辺三菱製薬

https://hc.mt-pharma.co.jp/site_okinazole/contents/vaginal-discharge

7.膣カンジダ|大正製薬

https://www.taisho-kenko.com/disease/94

8.オキナゾールL600 添付文書|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcDetail/400315_K2211000035_01_01

9.エンペシドLクリーム商品紹介|佐藤製薬

https://www.empecid.jp/candida/products/cream

10.一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索 |独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch

11.フレディ|ロート製薬

https://jp.rohto.com/flady/fladycc

12.オキナゾールL 製品情報|田辺三菱製薬

https://hc.mt-pharma.co.jp/site_okinazole/point.html

13.メディトリートシリーズとは|大正製薬

https://brand.taisho.co.jp/meditreat/product

14.腟錠とクリーム・何が違う?どう使う?|佐藤製薬

https://www.empecid.jp/candida/products/difference

15.エンペシドL(腟錠)はいつ挿入するのが効果的ですか?|佐藤製薬

https://www.empecid.jp/question/02.php

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