「20代ではどれくらいの方がAGAを発症するの?」
「AGAを早期発見する方法はある?」
抜け毛や薄毛に悩む男性は少なくありません。日本人男性の約30%はAGA(男性型脱毛症)を発症していると言われています。
では、20代のAGA発症率はどれくらいなのでしょうか。今回は、20代でAGAを発症する割合や早期発見の方法、治療法を詳しく解説します。
この記事の監修者
国家公務員共済組合連合会虎の門病院 救急科部長
東京大学医学部救急医学 非常勤講師
軍神 正隆(ぐんしん まさたか)
1995年長崎大学医学部卒業。亀田総合病院臨床研修後、東京大学医学部救急医学入局。米国ピッツバーグ大学UPMCメディカルセンター内科、米国カリフォルニア大学UCLAメディカルセンター救急科、米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学MPH大学院を経て、東京大学医学部救急医学講師。日本救急医学会認定救急科専門医・指導医。2019年より現職。
20代のAGA発症率は約10%
日本皮膚科学会が発行している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」によると、20代のAGA発症率は約10%となっています。つまり、約10人に1人がAGAを発症しているのです。
年齢が上がると発症率も増加し、30代では約20%、40代では約30%、50代以降では40数%の方がAGAを発症しています。年齢が上がるにつれて発症率も高くなることが特徴です。
20代でAGAを発症する原因
20代でAGAを発症する原因には、主に次の3つがあります。
AGAの発症に大きく関与しているのは、ジヒドロテストステロン(DHT)と遺伝です。生活習慣の影響はゼロではないものの、ジヒドロテストステロンや遺伝に比べると影響は大きくありません。
ジヒドロテストステロン
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンの一種です。男性ホルモンレセプター(男性ホルモン受容体)に結合すると、TGF-βやDKK1などの脱毛因子が誘導され、抜け毛や薄毛が進行します。
脱毛因子が誘導されると、毛母細胞の増殖が抑制され、髪の毛が正常に育たなくなるのです。
細胞分裂を行い、髪の毛を作り出す細胞です。働きが低下すると、髪の毛の成長が遅くなったり生えてくる髪の毛が細くなったりします。
遺伝
20代のAGAは遺伝で発症することも分かっています。遺伝に関与しているのが、X染色体や常染色体にある遺伝子です。
X染色体 | 母親から受け継ぐ性染色体の一つです。体の成長や免疫機能に関する多くの遺伝子が含まれています。 |
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常染色体 | 両親から1つずつ受け継いでペアを作っている遺伝子です。23対、合計46本あります。 |
X染色体上には、男性ホルモンレセプターの遺伝子が存在しています。この遺伝子がAGAの遺伝リスクに大きく関与していることが研究により明らかになりました。
AGAに関連している遺伝子は一種類だけではありません。複数の遺伝子が関与して発症に至ると言われています。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れもAGAの発症と関係している可能性があります。例えば睡眠時間が極端に短い方では、髪の毛が十分に成長できません。
これは、睡眠中に成長ホルモンの分泌量が多くなるためです。タイで行われた研究では、睡眠時間が6時間以下の方でAGAとの関連性が高いことが分かりました。
また、食生活の乱れも髪の毛に影響を及ぼす恐れがあります。特に亜鉛が不足している方は要注意です。不足すると脱毛症になることがあります。
AGA発症を早期発見する方法
AGAは早期に発見して早期治療することが大切です。とはいえ、どうすれば早期発見できるのか分からない方が多いでしょう。
できるだけ早くAGAの兆候に気づくためには、次の2つのポイントを押さえておく必要があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
頭頂部や生え際の髪の毛を観察する
上記の絵は、ハミルトン・ノーウッド分類を分かりやすく示したものです。絵を見て分かるように、AGAは頭頂部や生え際、前頭部から進行します。
AGAの進行度合いやパターンを見るための分類です。診断の参考としても用いられます。
頭頂部、生え際、前頭部のいずれかの部位から抜け毛や薄毛が進行している場合は、AGAの可能性が高いと考えられます。
抜け毛の数を数える
健康な方でも1日に100本ほど抜けます。抜け毛の数がこれより多い場合は、要注意です。
朝起きると枕元に大量の髪の毛がある、シャンプーのときに抜けた髪の毛が大量に手に絡みつくなどの症状があるときは、AGAの兆候が出ているかもしれません。
ただし、抜け毛の量は季節によって変わります。春や秋は髪の毛が抜けやすいため、100本より多く抜けていても問題ないこともあります。
20代のAGAは自然に完治する?
20代で発症したAGAが自然に完治することはありません。なぜなら、AGAは進行性の病気だからです。
20代はAGAを発症する年齢としては早い方ですが、AGAは発症した年齢に関係なく進行を続けます。完治することはありませんが、AGA治療によって症状の進行を食い止めることは可能です。
風邪を引いたら風邪薬を飲んで症状を抑えるのと同じように、AGAも症状を抑える対症療法が基本の対策となります。
20代でAGAを発症した人に用いられる主な治療法
20代でAGAを発症した場合、次のような治療法が用いられます。
このうち、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」で推奨されているのは、ミノキシジル(外用薬)とフィナステリド、デュタステリドの3種類です。
ミノキシジル
ミノキシジルには、外用薬と内服薬の2種類があります。どちらも短くなった成長期の期間を正常に戻し、発毛を促す薬です。
毛周期には成長期、退行期、休止期の3つの期間があります。健康な方の成長期は約2~6年ありますが、AGAを発症している方では数カ月から1年ほどしかありません。
これを元に戻すのがミノキシジルです。
フィナステリド(プロペシア)
フィナステリドは5αリダクターゼ(5α還元酵素)を阻害してジヒドロテストステロンの産生を抑制する薬です。
テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する際に必要な酵素です。Ⅰ型とⅡ型の2種類があります。
Ⅱ型の5αリダクターゼを特異的に阻害し、ジヒドロテストステロンの産生を抑制してAGAの進行にストップをかけます。
デュタステリド(ザガーロ)
フィナステリドと同様に、ジヒドロテストステロンの産生を抑制する働きがある薬です。Ⅰ型とⅡ型両方の5αリダクターゼを阻害します。
フィナステリドよりも阻害できる5αリダクターゼの酵素の種類が多いため、より高い効果が期待できることが特徴です。
カルプロニウム塩化物
血管を拡張し、血流を改善して髪の毛の成長を促す薬です。「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、ミノキシジルの外用薬、フィナステリド、デュタステリドが推奨度A(行うよう強く勧める)に分類されています。
一方でカルプロニウム塩化物の推奨度はC1(行ってもよい)です。AGA治療効果が他の治療薬と比べて特別に高いわけではないため、基本的には推奨度Aの薬から用います。
そのため、カルプロニウム塩化物が積極的に使用されるケースはあまりありません。
ケトコナゾール
5αリダクターゼを阻害し、ジヒドロテストステロンの産生を抑制する働きがあると考えられています。
比較対象にプラセボを使ってケトコナゾールの効果を調べた研究では、ケトコナゾールを使ったグループで髪の毛の再生率と直径が増加することが分かりました。そのまま頭皮に塗布したり、シャンプーに混ぜたりして使用します。
植毛
植毛には自毛植毛と人工毛植毛の2種類があります。
自毛植毛 | 自分の毛を皮膚組織ごと採取して薄毛の部位に移植する方法です。 他の髪の毛と同じように成長を続けるため、自然な見た目になります。 |
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人工毛植毛 | 合成繊維で作られた人工の髪の毛を移植する方法です。 無制限に移植できますが、移植した人工毛は成長しないため時間が経つと見た目が不自然になることがあります。 |
「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」で推奨されているのは、自毛植毛です。人工毛植毛は拒絶反応や炎症を起こすリスクがあるため、推奨度D(行うべきではない)に分類されています。
メソセラピー
抜け毛や薄毛を防止するのに有効な成長因子や薬剤を頭皮に直接注入する治療法です。どのような成分を注入するかは、クリニックにより異なります。
注射と聞くと苦手意識をもつ方もいるかもしれませんが、炭酸ガスやレーザーを使って注入する方法もあります。
AGAの治療効果を高めるための生活習慣
20代のAGAを改善するためには、適切な方法で治療を受けることが最も大切です。さらに治療効果を高めたい方は、生活習慣の見直しも同時に行ってみてください。
バランスの良い食事を心がける
3食バランス良く食べることは、髪の毛に良い影響を与えます。炭水化物や脂質ばかりを摂るのは健康面でも良くありません。三大栄養素のバランスを考えて食事を摂りましょう。
- 炭水化物…50~65%
- 脂質…20~30%
- タンパク質…13~20%
特にタンパク質は、髪の毛の大部分を占める大事な栄養素です。不足することがないよう、肉類や魚、卵などを意識して摂取するようにしてみてください。
ストレスを溜め込まない
ストレスを溜め込まないことも大切です。ストレスが溜まった状態で放置していると、ホルモンや自律神経のバランスが乱れたり血行が悪くなったりする可能性があります。
- 休息をとる
- 睡眠時間を確保する
- 適度な運動を行う
- 趣味の時間を作る
このように工夫をし、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
睡眠をしっかりとる
抜け毛や薄毛が気になる方は、睡眠を意識することも重要です。睡眠不足の状態が続くと、髪の毛の成長に必要な成長ホルモンの分泌量が減ると言われています。
必要な睡眠時間は人それぞれです。厚生労働省では、適正な睡眠時間は6~8時間程度だとしています。また、睡眠の質を高めるために、以下のことにも気をつけて過ごすようにしましょう。
- 普段から適度な運動を行う
- 朝食を摂る
- 就寝前にリラックスタイムを設ける
- 就寝時刻と入眠時刻を一定にする
- 夕方以降にカフェインの摂取をしない
- 飲酒や喫煙を控える
頭皮環境を整える
AGA治療を行いながら頭皮環境を整えると、治療効果が高まる可能性があります。大正製薬が行った研究では、頭皮に炎症が起こると発毛や育毛に関わっている遺伝子の発現が抑制されることが分かりました。
また、頭皮環境が悪化している状態でミノキシジルを使用すると、発毛作用が弱まることも分かっています。そのため、頭皮環境を整えることはAGAの治療効果を十分に引き出すために重要です。
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処方された薬は自宅まで郵送される
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対応している地域は限られますが、Uber Eats配達便を使用すれば当日中に薬を受け取ることもできます。
20代でAGAを発症したら早めに治療を始めよう!
20代は、これからAGAの症状が進行していく時期です。発症してすぐの状態なら、AGAの治療効果が出やすいので、治療を始める絶好のチャンスだといえます。
実は、毛母細胞には寿命があり、決まった回数しか細胞分裂しません。AGAを発症すると早期に寿命を迎えるため、手遅れになる前になるべく早く治療を開始することが大切です。
20代ならまだ間に合います。抜け毛や薄毛が少しでも気になり始めたら、早めに医師へ相談しましょう。
20代のAGAに関するよくある質問
20代のAGAに関してよくある質問をまとめましたので参考にご覧ください。
年齢別のAGA発症率はどれくらいですか?
年齢別のAGA発症率は以下の通りです。
- 20代…約10%
- 30代…約20%
- 40代…約30%
- 50代…40数%
大学生でAGAを発症することはありますか?
早い方では10代からAGAを発症することが知られています。そのため、大学生でAGAを発症する可能性も十分にあります。
20代のAGAは治りますか?
AGAは完治する病気ではありません。20代で発症したとしても治ることはないため、早めにAGA治療を始めましょう。
なお、AGA治療薬もAGAを完治させるものではありません。AGAの進行を止めて発毛を促す効果があります。
【参考文献】
Genetic and molecular aspects of androgenetic alopecia
Sleep quality in men with androgenetic alopecia
Topical ketoconazole for the treatment of androgenetic alopecia: A systematic review